幻獣ムベンベを追え (集英社文庫)

幻獣ムベンベを追え (集英社文庫)

高野秀行ブームが始まりました。これは作者が大学在学中に探検部で実際にコンゴまでUMAを探しに行っちゃった紀行文(なんだろうか?)。きっかけはともかく国交のまったくないコンゴに連絡を取って、調査許可を得、スポンサーを求めて機材をそろえるまで「わーちゃんとしてるー」と感心してたのですが、いざ行っちゃったらもうハチャメチャです。よく全員無事に生きて帰ってこられたなぁ。結局ムベンベを発見することはできなかったのですが、こういう時期をもてたこの人たちが羨ましいとちょっと思ってしまいました。この時期私はすでに社会人。しゃかりきに働いてましたからね。
そうそう。コンゴに行くことが決まったとき、やはり一人でコンゴに渡り取材したつわものテレビマンとして、ミャンマーで亡くなった長井さんが登場しています。とてもピュアな人だったらしく、登場するのは2〜3行だったのですがとても切ない気分になりました。コクと深みの名探偵第3弾。前作最後で恋をした相手が亡くなったのですがその気分を引きずることなく、すっぱりと次の生活に移っていてちょっと笑ってしまいました。今回はビレッジブレンドの名物ラテを飲んでひらめいたデザイナーが、新作ジュエリー披露会場にビレッジブレンドを選び、まさにその会場内で殺人事件が起こり容疑者は店員というものすごいピンチ。なのに相変わらずお店は大繁盛で、毒殺されたのにこんなに変わらず客がくるもの?日本だったら閉店だなーと思いながらもコーヒーとお菓子のおいしそうな様子にだまされてさくっと読んでしまいました。終わってしまえば犯人はあの人だし、やっぱり日本じゃこの店閉店だよ!と突っ込まずにはいられませんでした。でもなー肝心の殺人事件がどうのより、元夫や刑事さんとの恋の鞘当の方が面白いからこれはこれでいいのかしら。